液晶が表示されないQY20をきれいに修理

2023/05/14

YAMAHA QY20 電子回路

30年近く前に発売された、未だに人気のあるYAMAHAのシーケンサー、QYシリーズ。


 QY20の故障は、おおまかに6つの状態があります。

  1. 液晶表示用のコンデンサ故障。音は出る。
  2. 液晶表示用のコンデンサ故障。バッテリー切れで音も出ない。
  3. 液晶漏れ(液晶焼け?)。音は出る。
  4. 液晶漏れ(液晶焼け?)。バッテリー切れで音も出ない。
  5. 画面が崩れた状態で表示。データメモリが壊れている。
  6. メイン基板故障。
3,4の液晶漏れは修理困難です。6の原因特定難しく、は諦めたほうがよさそうです。
また、音が左右の片方だけ出なかったり、Line端子とPhone端子のどちらかが出なかったり、する場合は、基板のパターンが切れている(または、基板の両面をつなぐビアというスルーホール部が腐食断線)ことが多く、これは根気次第で修理できます。

先日、液晶表示されず、動作未確認のQY20がヤフオクに出品されていました。動作(音がでるか)未確認の状態です。「未確認」というのは、確認したらダメだったので、未確認ということで、、、いうステータスにすることが多いようです。出品された画像を見る限り、液晶漏れ、液晶の焼け?は、なさそうです。

ということで、2レベルかなと思い、落札しました。不安なのは、修理失敗の出品。修理どころか、さらに壊している状態もあり得ます。

本体が届きました。

音を確認すると、問題なく出ています。キー操作での判断ですが、バッテリーローもなさそうです。ということは、バッテリー交換済(ボタン電池化とか)の修理歴ありの可能性が高いです。

裏カバーを開けてみました。なんと、、、修理痕どころか、とてもきれいな状態。一度も開けていないのでしょう。バッテリーもオリジナル状態です。あまり使われていなかったのでしょうか。奇跡に近い状態です。

で、、、、コンデンサ交換の修理開始。できるだけ、オリジナル状態を維持したいので、慎重に作業します。


真ん中上にある、縦横2つ並んだ小さなタンクみたいなのが、表示用のコンデンサです。これを取り外します。以前は、ヒートガンで外しましたが、もっと簡単な方法をYouTubeで見つけました。ラジオペンチでそぉ~っとひねる、ひねる、ひねる、です。


きれいに上のアルミ部分だけが取れます。足の部分がもげたり、台座のプラスチック部分が割れることもありますが、それでも問題ないです。絶対に避けたいのは、基板の配線パターンを剥がすことです。こうなると、パターンを辿って、はんだ付けできそうな部分から、リード線を延ばして、ととても汚い修理になってしまいます。


4つともアルミタンク部分が取れた状態です。コンデンサ内の足と、台座が残っています。まずは台座をピンセットなどで割りながら、取り除きます。


次に、足を半田ごてを使って、基板から外します。絶対に無理やり取らないように。パターンが剥がれます。必ず剥がれます。足を取り除いたら、基板のハンダ面を、半田ごてで平面にしておきます。
(半田ごてが触れて溶かさないに、周囲をマスキングテープでガードしています)

同じ大きさのコンデンサを用意します。同じ形状のチップコンデンサを使う場合は、必ず、同じ大きさにしましょう。大きさが違うと、はんだ付けできません。容量は大体でよいですが、4つとも同じ容量のコンデンサを使ってください。


今回は、同じ形のコンデンサに交換します。方法は、はんだ付けするコンデンサ1カ所の、基板とコンデンサの接合面の両方に、フラックスを塗ります。基板側の片方のハンダ付け部分を溶かして、そっとコンデンサを斜めから滑り込ませるように、載せます。上でなく、横から滑らせるように。そして少しの間、コンデンサと基板の接地部分に半田ごてを当てておきます。ハンダが接地面に馴染む感じがあるまで。半田ごてを離して、ハンダが固まったら、コンデンサをそーっと触ってみて、動かなければ、付いているのでしょう。今度は反対側を基板のハンダが溶けるように半田ごてを当てます。溶けたら、コンデンサの接合面に半田ごてをつけて、両方にハンダが馴染むようにします。同じように固まったら、動かないか確認します。簡単にグラグラしたら、はんだ付けが足りないので、両方の接合面に再度熱を加えてみます。このようにして、チップコンデンサを付けます。ハイ、我流なので、参考程度に。。。
4個の取り付け順序を、自分なりに考えてください。個人の癖があるので、一概にどこから、とは言えません。付けやすいところから行うと、最後に付けづらい部分が一層付けづらくなりますので、順番はシミュレーションしたほうが良いです。


ちょっと向きが不ぞろいですが、きれいにつきました。


表示も復帰しました。ほぼ、原型を保つ、希少なQY20となりました。



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