YAMAHA QY20 「BATTERY LOW」が頻発する原因を突き止めた

2022/11/22

YAMAHA QY20 電子回路

 YAMAHA QY20は、2つの大きな問題があります。

  • 液晶が消えていく
    • 電解コンデンサの容量抜けのため、液晶駆動に必要な昇圧ができないため。
    • MAX680駆動の4つの電解コンデンサ(C26,C27,C28,C29)を交換。
  • 「BATTERY LOW」が出て、そのうち(数か月もすると)、使えなくなる。
    • メモリ用のバッテリー切れによるメモリ消失。
    • 直付けされているCR1リチウム電池を交換。

    電気回路の基礎知識と道具、半田付けの技量があれば、自力で解決可能です。


    バックアップ機や、部品取りのため、複数台、QY20を持っていますが、そのうちの1台だけ、リチウム電池を替えても、バッテリーローが出続けていました。基板側で電圧を測っても、3.1V以上出ているので、そのまま使っていましたが、毎度、数分に1度、「BATTERY LOW」が表示されるので、長時間、使う気になれません。


    先日、QY20のサービスマニュアルを手に入れました。なんと、回路図がついています。


    ふと、思い立って、バッテリーの結線を追いました。

    電源を入れると、電圧計測のため、CPU(IC2)の47番ピンにバッテリーの電力が流れるようです。47番ピンの電圧は、0.5V弱。あらら。。。

    バッテリーから、R2を経由して、電源スイッチの連動を挟んで、R9、R7を経由して、CPUに入るようです。R2を経由した電圧は3.17V、R9はスイッチOFFで0V、スイッチONで3.17Vとここまで正常です。しかし、R7に入る側は0.6Vでした。

    ということは、R9とR7がつながっていません。どこかで断線しているようです。しかし、回路図はR7は3.3kΩですが、実物は120kΩなので、ひょっとして回路が変わっている可能性もあります。もう一台のQYでは、3.3kΩなので、その可能性捨てきれないです。


    もっと大変なのは、2層両面実装なので、結線を追えるかと思ったのですが、老眼には無理でした。ICの下を通ったり、表裏を行き来する微小なスルーホールばかりで追いきれません。と、、、偶然、R9につながるホールを見つけました。その反対側のホールはR7につながっていました。そのホール間が断線しています(写真の赤ケーブル右横の3本の線)。見た目にはつながっているのですが、∞Ωです。これですね。


    C85をシルク印刷された左側のホールが裏面でR9と繋がっています。このホールから上に延びていく線が消えかかっています。その右側の線も消えかかっていますが、これはつながっていました。

    ということで、断線個所にジャンパーをはんだ付けしたら、見事、「BATTERY LOW」は出なくなりました。バンザイ!


    おまけ。

    ジャンパーのはんだ付けも一苦労でした。

    チップ抵抗にはんだ付けするのは、下手するとチップが剥がれてしまうので、やめました。そうすると、ホールにはんだ付けするしかありませんが、古い基板なので、半田が付きません。フラックスも効きません。

    また、部品の隙間やホールだらけなので、1つのホールにピンポイントではんだ付けが難しい。しかも単線より小さなホール、ヨリ線をばらした2本分の細い線しか通りません。これではすぐに切れてしまいます。

    ということで、そーっと、ホールにひっかけて半田をのせてなじませたあと、ジャンパー線をテープで固定。

    QooQ